オンライン支払いの活性化を目指す100億円強のGrant for the Web基金が誕生

オンラインコンテンツに対する支払いを求めるのは簡単ではない、そして広告ベースの経済規模の収縮が続くにつれて、ほとんどの人たちが代替手段を探している。問題の1つは、ウェブは画像や音声、そしてファイルを転送するのには優れているが、お金の移動に関しては簡単にはいかないということだ。そこで、Coil、Mozilla、そしてCreative Commonsの3者は、その状況をネイティブのウェブペイメント標準と、立ち上げのための1億ドル(約108億円)の基金で変えようとしている。

ここで語られるゲームの名前はWeb Monetization(ウェブ収益化)というプロトコルだ、これは誰でも利用できる新しく提案されたウェブプロトコル。このプロトコルは、誰もがウェブ上の誰に対してもお金を送ることができる、オープンで相互運用可能な標準となることが意図されている。

しかし、それはまったくゼロから生み出されたというわけではない。これは、元Ripple(リップル)CTOのStefan Thomas(ステファン・トーマス)氏が、彼の新会社Coilで追求していたInterledger(「相互+台帳」といった意味)と呼ばれるプロトコルに基いている。

「基本的には、インターネットプロトコルの概念を支払いに適用たものです。つまり小さなお金のパケットをルーティングするということです」と、トーマス氏はTechCrunchに語る。このシステム自身は有用なものだが、維持と管理の面で行き詰まってしまったのだと彼は言う。そして彼は、Flattrのようなサービスは素晴らしいが、それらは基本的に単一の会社によって運営されているために、限界があると語る。

彼は、Interledgerのことを、完全に相互依存を排したやり方で、既存の支払いシステムを安全かつ普遍的に接続するためのプロトコルだと説明した。「例えばビットコインでも銀行台帳でもその他のものであっても、任意の支払い基盤がサポートされます。同様に接続手段も衛星だろうが、Wi-Fiだろうが構いません。私たちはこれに長い間取り組んできました、おそらく2015年頃からです、そして昨年私たちは、これを現実世界に持ち出すにはどうすればいいのかと考え始めたのです」。

関連記事:ミームサイトのImgurCoilから2000万ドルを調達(未訳)

その1つの答えが新しい会社だった。しかし同時にオープンウェブの支持者であるMozillaならびにCreative Commons と、Grant for the Webという1億ドルの基金を設立する提携も行った。両者とも、基金からの助成金受取人を選択する権利を持ち、後者は受取人そのものでもある。

「これはCCが、CC Searchのオプションであるマイクロペイメントを実験できる機会です」と、Creative Commonsの暫定CEOのCable Green(ケーブル・グリーン)氏は述べている。「ユーザーが感謝の気持ちを示すために、公開ライセンスの画像の作成者にマイクロペイメントで支払いを行いたいときに、私たちはグローバルコミュニティと共にこれらのオプションを検討することに興味をもっています」。

「オープンソースのマイクロペイメントプロトコルとエコシステムは、クリエイターとユーザーの双方にとって良いものになる可能性があります」と彼は続けた。「データの収集や広告に依存しないウェブを構築するのはいいことです」。

1億ドルの基金はすべてCoilが供出したものだが、これはCoilがInterledgerとWeb Monetizationプロトコルの開発と促進を行うために創業されたことを考えると当然のことだ。巨大な資金によるプッシュは、新しいウェブ標準を確立する際の通常のやり方とは思えないが、トーマス氏は、支払いは特別だと説明する。

「ウェブの基礎となるビジネスモデルは壊れています」と彼は言う。そしてその理由の一部はその設計に由来している。既存の支払いおよび収益化構造に既得権益を持つ巨大企業たち(広告に依存するGoogleやVisaなどの伝統的支払勢力)は、現状維持または自身に有利な方向への移行へと常に取り組んでいる。

関連記事:支払い大手のStripeクレカの提供を開始(未訳)

「私たちから見た場合、今回の標準は最終的には数十億ドルの資金を持つ、商用プラットフォームとの競合になるでしょう」とトーマス氏は語る。

1億ドルの資金は5年ほどで分配され、Web Monetization標準を興味深い方法で利用した企業や個人、あるいは既存の収益化手段では十分に報われていないコンテンツクリエイターたちに報奨金として渡される予定だ。

調査ジャーナリズムや、非主流コミュニティからのドキュメンタリーといった、ロングテールでありながら重要なコンテンツも、この基金の対象の1つだ。助成金は、直接的な資金提供、または購読者たちによる寄付へのマッチングという形で提供される。 現在Creative Commonsのようなオープンライセンスでリリースされているものの半数以上のコンテンツが、謝礼を受け取る手段を用意していない。それこそが組織が期待している点だとトーマス氏は語る。

現時点では、標準を実装しているサイトへの支払いを簡単にするための、サブスクリプションベースのブラウザー拡張機能が唯一の利用手段だ。確かに、それはそれほどセクシーな利用体験ではない。しかし、基金の一部は、この標準の開発と採用をより広く推進することを目的としている。

コンテンツをサポートするために、従来の広告ベースまたはサブスクリプションベースの方法に代わるモデルが存在することを示すことは、確かに高くはつくが、1つの方法だ。

grantfortheweb.orgで今すぐサインアップすれば、助成金申請が開始されたときに通知を受け取ることができる

画像クレジット: Coil

原文へ]

(翻訳:sako)

Source: TechCrunch Japan
オンライン支払いの活性化を目指す100億円強のGrant for the Web基金が誕生