広島発スタートアップstakが目指す変則型サブスクIoT製品の未来

既報のとおり、広島を拠点とする2014年設立のスタートアップであるstak(スタック)は、ソフトバンク系のIoT製品の企画・開発・販売を手がける+Styleと、Amazonで、同名のIoTスマート電球とスマートリモコンの発売を開始した。

同様の製品は数多くある中でstakが特徴的なのは、変則的なサブスクリプションモデルを採用している点だ。販売価格は、stak本体とスマート電球、スマートリモコンを合わせて税込で1万27000円。

中国系の安価な製品に比べると酷だが、国内メーカーがきちんとサポートする製品を買いそろえるよりは安価に導入できる。単価では、stak本体が月額480円、照明モジュールが3500円、リモコンモジュールが2500円となる。+StyleやAmazonの販売価格にはstak本体に対する1年間の利用権が付属しており、480円×12カ月で5760円となる。5760円+3500円+2500円の合計で1万1760円、消費税8%を加えて1万2700円となるわけだ。

stack代表の植田振一郎氏

stack代表の植田振一郎氏は、本体のみをサブスクリプションモデルとした理由について「電球やリモコンをモジュール化することで低価格にして、ユーザーが好きなモジュールを手軽に買えるようにしたかった」とのこと。「一方で、サブスクリプション化した本体を1年間使ってもらうことで開発費を回収でき、2年目からは利益が出る計算」というわけだ。

今後時期は未定なから、蚊取りモジュールのほか、フレグランス、スピーカーといったモジュールの開発も進めているという。「実は、蚊取りモジュールは今夏に出そうと考えていたのですが、先行販売で募集したMakuakeでの支援者は300人弱で、この中のどれぐらいの方に購入してもらえるかわからない。製品として完成しているものの、数人しか買わないプロダクトになってしまうと、その後の経営に大きく響いてきます」と植田氏。

「現在は、Makuakeの支援者からのフィードバックを参考に、ソフトウェア側の改良を進めている」という。具体的には「複数のスマートリモコンで複数のエリアを一括制御する機能や、マルチアカウント機能などの優先順位が高い」とのこと。「当初、stakは一人暮らしのユーザーを想定して開発を進めていたのですが、Makuake支援者の3割ほどが家族と一緒に一軒家で使っていることがわかったんです」と、その理由を教えてくれた。

「stakのアプリでは、GPSなどの位置情報を参照してユーザーが自宅から一定距離離れるとスマートリモコンが自動で照明や家電をオフにする機能があります。しかし家族で使う場合は、一人が家から離れたからといって自動的に家中のスイッチがオフになってしまうと都合が悪い。そのため、ユーザーからマルチアカウント機能が切望されている。

そのほかの構想として、センサーの塊のようなモジュールも出したいとのこと。ジャイロや加速度、環境光など、いまは何に使うか決めていなくてもオーバースペック気味に作っておき、あとからアイデア次第でさまざまなサービスを提供できるものを想定しているという。例えば、加速度センサーやジャイロセンサーを使って地震などの建物の揺れを検知して、家電を制御するといった使い道があるかもしれない。

今後の事業展開について植田氏は、前述のソフトウェアの改良によってまずはstak本体の販売台数を増加を目指すとのこと。「検討しているのがB向けのサービスです。ホテルなどで宿泊客がチェックアウトした際にStakのスマートリモコンで一括制御できれば、人件費や電気代が節約できます。stakはサブスクモデルのため初期導入費用を抑えられます」と語る。

将来的には、stak本体にSIMを内蔵させて、BluetoothやWi-Fiに頼らない制御も実現したいとのこと。リモコンモジュールの機能についても、現在の赤外線制御だけでなく、APIがオープンになっているIoT機器であればアプリの改良でstak側でのWi-FI制御も可能になるそうだ。そして早ければ6月に、GoogleアシスタントやAmazon Alexaによる音声制御にも対応するという。

最後に広島で起業した理由を聞いた。「もともとは東京の別の会社で働いていたのですが、自動車メーカーのマツダがある故郷の広島はものづくりが盛んで、ここで何か面白いハードウェアを作ることができるのではないか」と考えたという。とはいえ地方なので、全国的な露出を考えて、銀座にショールームを持つ+Styleや、全国に配送網を持つAmzonの力を借りて地名度を高めることに決めたそうだ。

広島を含む中国地方のスタートアップ投資については「最近では大手地方銀行がCVCを作るなどして活動していますが、スタートアップが調達できる額は数千万程度が上限と低いのが現状。金融機関側が、地元のスタートアップに数億円を投資するというマインドにはまだ到達していない」とのことだ。

プロジェクト開始から製品リリースまでのリードタイムが長く、価格では太刀打ちできない中国製の類似製品がすぐに追従してくることもあり、ハードウェアスタートアップは起業の難易度が高い。stackのような変則的なサブスクによる収益源の確保が一般に認知・理解され、支援する体制がきちんと整っていくことを願うばかりだ。

Source: TechCrunch Japan
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