映画に見る中国のパラレルテクノロジー世界

映画”DETECTIVE CHINATOWN 2″(チャイナ・タウンの探偵2)から何を学ぶことができるだろう?実はかなり多くのことを学べるのだ。この映画は今年11位のヒット作で、例えば「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」や「クレイジー・リッチ!」よりもはるかに興行収入は上回っている。だがおそらく、今年10位のヒット作である「オペレーション・レッドシー」同様、その名前を耳にしたことはないだろう。これらの売上はすべて中国国内で生まれているものなのだ。

このスラップスティックがシャーロック・ホームズ的なものと組み合わされたコメディが、テクノロジーについて私たちに教えられるものは何だろう?私たちがその物語の根底の意味を読み解けば、多くのことを学ぶことができる。1つ目立っている点:最近の有名なアメリカ映画で、スマートフォンのアプリがこれほどプロットに織り込まれている映画はない。映画のキャラクターたちは一括りにされて、常に参照され、ひとつのスマートフォンアプリでまとめられている。投獄されたとき中国人探偵は、何よりも携帯電話を取り上げられたことを嘆く。そして、物語の初めに青い髪の女性ハッカーが「私とWeChat IDを交換してくれる?」と頼むことは、どうということはないエピソードのように思えるが、彼らのWeChatの会話は物語が進むにつれて、プロット上重要な位置を占めて行くことになる。

また西洋のテクノロジーが支配的になる中で、登場キャラクターたちがiMessage/FB Messenger/WhatsAppのいずれでもないチャットアプリを使うのを見ることには、少々違和感がある。インターネットの基本はTCP/IPレベルで世界的に広がっているかもしれないが、私たちは2つの異なったオンライン世界に生きているのだ。1つはFacebook / Google / Amazonの世界、そしてもう1つはTencent / Baidu / Alibabaの世界で、Appleだけがこの2つの世界にまたがって存在しているもののように見える。これは支払いの世界でも同様だ、私は今年初めに中国にいたのだが、マクドナルドを含め、多くの場所でVisaとMastercardがいかに役にたたないかを思い知らされた。西洋オリジンの支払い方法で唯一使えたのはApple Payだけだったのだ。

このことの理由を、グレートファイアウォール(金盾)に求めることは簡単だしある意味正しい(西洋には独自のファイアウォールはないが…。私がこれを書いているのはパリなのだが、現在住んでいるサンフランシスコのニュースを読もうとしたときに、トップの図で示されているような“451 Unavailable for Legal Reasons”(451 法的な理由でアクセスすることができない)という表示に出会った、おそらくこれはGDPRの影響なのだろう)。しかし、中国のアプリや中国のハードウェアは、長い時間をかけて、西洋の技術の模造品を乗り越えてきたのだ。いまや独自のものを作り、その品質もしばしば良いものだ。

それは目覚ましい発展だった。私は、2011年にエチオピアを旅行しているとき、泊まっているホテルのWi-Fiのハードウェアとソフトウェアがみな中国製であることに驚いた。そしてその7年後、ここパリでは、Huawei(華為)の最新スマートフォンを宣伝する6メートルの高さのキラキラ輝くポスターに頻繁に出会う。

中国の力が高まるにつれて、中国とアメリカはお互いを脅威とみなすようになっているようだ(もちろん、これは単なる映画に過ぎないが、多くの文化的前提を学ぶことができる。そして映画「オペレーション・レッドシー」(これは基本的に中国軍の胸踊らせる英雄譚と「ブラックホーク・ダウン」を組み合わせたものだ)は、中国海軍と米国海軍の気になる膠着状況の中で終わる)。そして確かに中国政府は、その悪名高い検閲制度以上の恐ろしいことをしている。たとえば、数百万人と推定されるイスラム教徒たちを、イスラム教徒であるという理由で拘禁するといったことだ。

しかし、純粋に技術的な観点から見ると、西洋のオンライン技術は、図らずも、巨大なものとなり、全く異なるアプリとサービスが開発され広がるようになっている。現段階では、中国のパラレル世界は主に中国の中に存在しているだけで、それ以外の世界にはあまり影響を与えていない。だがそれは、この「サンフランシスコ政治の中のWeChat」ストーリーが示すように、既に変化を始めている。中国が西洋にますます関わるようになるにつれて、私たちは彼らの技術が私たちの技術に興味深いやりかたで重なっていくところを目撃することになるだろう。興味深い時代を過ごせますように。いや本当に。

[原文へ] (翻訳:sako)

Source: TechCrunch Japan
映画に見る中国のパラレルテクノロジー世界