ハードウェアスタートアップがクラファンで音楽制作に新鮮な息吹を吹き込む

私は音楽が大好きだ。真面目な話、それはこの寒々しく孤独な世界に慰めをもたらす、数少ないものの一つなのだ。ジョニ・ミッチェル、ウィリアム・オニーバー、それともパブロ・カザルスについてもっと詳しく知りたくならないだろうか?私は本気だ。なにしろ、TechCrunchに来る前には、何年も複数のレコード店で働いていたのだ。その意味で、私はいつもそちら側の人間だ。しかし、私はこの先、ミュージシャンやその他のプロフェッショナルの類になろうとは決して思わない。

現時点で私は、そのように人生の決断を下している。私がプロ野球選手になることが決してないのと同様に、ロックスターになることも決してない。どちらも私の中ではケリのついた事柄だ。トロンボーンを吹いていた中学の2年間や、ギターを習得しようとしていた15年間に戻る必要はないのだ。まあ要するに、私はどちらにもまったく適性がなかったのだと思ってほしい。

音楽を作りたいという欲求がないからというわけではない。それは率直に言えば単なる才能の欠如なのだ。そしてまさにこの理由で、私は新しい音楽機器に興味津々なのだ。音楽の基本的なスキルに欠ける人たち向けに、音楽制作の真の可能性を開くことができるスタートアップには、膨大なお金を稼ぐ機会が待っている。

こうした理由から、私はずっとRoli(ロリ)に興味を持ってきた。数年前にSeaboardがSXSWでデビューしたときには、私は真っ先にそれを取り上げた1人だ。それは魅力的な楽器で、柔らかい素材のおかげでスラーを自然に行うことができる。だがそれをマスターするためには、実際にはどのような音楽をやる場合でも、ある程度ピアノの演奏力が必要とされているのだ。数年前に発表された同社のモジュラーブロックシステムはさらに魅力的だったが、(そうした楽器を弾けない層の)かゆいところに手が届くというわけにはいかなかった。

さて先週のCESでKickstarterの素敵な人たちが、私の希望をある程度叶えてくれそうな3社のクラウドファンディング企業の創業者を紹介してくれた。フランスのスタートアップJoué(ジョウエ)は、会社名と同じモジュラーMIDIコントローラーで、今年のCESピッチオフの最優秀賞を獲得した。

このデバイスは以前取り上げたことのあるSensel Morphと同様の原理で動作し、タッチサーフェスの上にシリコンスキンを重ねて、さまざまなコントローラーを提供する。Jouéの取り組みは、これまでのSenselよりもさらに音楽を中心としたものだ。ところで、ショーにおけるSenselとの会話から想像すると、どうやら同社はこれまでのデバイスへの注力をやめて、サードパーティのデバイスに組み込むための魅力的なタッチコンポーネントへと舵を切ったようだ。

簡単なデモからもわかるように、彼らのKickstarterプロジェクトは印象的なものだ。これは非常に汎用的で、システムに全く異なる聴覚特性を与えるためには、単に新しいスキンとサウンドパックを用意すれば良いだけだ。また、カスタマイズされたサウンドパックの可能性についても同社は口にしていた。JouéはNWAの創設者であるArabian Prince(アラビアン・プリンス)氏によるパフォーマンスを、期間中ずっとブースで見せ続けていた。CESには奇妙な取り合わせだが、このような製品が引き寄せることができるかもしれないアーティストの興味深いサンプルになっている。 当然ミュージシャンたちは、カスタマイズされたパッドに興味を示しているようだ。

Rhythmo

しかし、同社はこの製品を初心者向けに最適なものとして位置付けているようだが、ここにはそれなりに急な学習曲線が待ち構えていると私個人は感じている。この学習曲線は、Rhythmoの場合にはある程度軽減されているようだ。オースティンに拠点を置くこのスタートアップのプロジェクトは、音楽制作とメイカーワールド(DIY)へのガイドを組み合わせたものだ。

これは、段ボール箱を使って作成するMIDIコントローラードラムキットである。すべての部品が含まれており、それらを組み合わせることが楽器製作作業にうまくつながっている。創業者のEthan Jin(イーサン・ジン)氏は、CESフロアでの実演用に組み立てられたモデルを私に触らせてくれた。このデモはさまざまな理由で多少不具合があったものの、楽しむことができた。キットには、さまざまなサウンドにマッピングできる大きなアーケードゲーム用のボタンが含まれてる。Rhythmoアプリを使用したり、iPadやデスクトップ上で選択した音楽ソフトウェアとインターフェイスさせたりすることができる。それはこの世界への楽しい入門となる。

Orba

さて、そうした中で、おそらくArtiphonが、私のわがままな要求を満たしてくれるものに最も近いと思われた。同社は大成功を収めたKickstarterプロジェクトであるInstrument 1でよく知られている。ギター、バイオリン、ピアノ、そしてドラムマシンのすべてを1台のデバイスで提供することを約束して、130万ドル(約1億4000万円)という途方もない金額を調達した。

しかし、今回の新製品のOrbaは、本当に私の目を釘付けにした。アイスホッケーのパック型をしたデバイスは、立ち上げて使う際に音楽的知識をほとんど必要としない、ポケットシンセサイザー、ルーパー、MIDIコントローラーだ。創業者のMike Butera(マイク・ブテラ)氏と話した後、私はそれを、非常に基本的なレベルでは一種の音楽的ハンドスピナーだと思うようになった。ちなみに今回は140万ドル(約1億5000万円)を調達している。

Instrument 1

言い換えれば、アパートの部屋を歩き周りつつ、執筆中のCESのクラウドファンディング音楽プロジェクト記事の見出しを考えながら、ぼんやりと音楽を作れる位単純なものだということだ。なお、決してわたしの日頃の行動を反映していない。純粋に仮定的な例だが。

3つのうちで、私の音楽的「かゆみ」に手を伸ばすには、これがもっともふさわしいものだった。

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(翻訳:sako)

Source: TechCrunch Japan
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