Snapchatが自分のアニメ動画を作成できるBitmoji TV提供へ

Snapchat(スナップチャット)で最も人気があるが活用しきれていない機能が2020年にようやくスポットライトを浴びる。来年2月にグローバルでリリースされる機能で、カスタマイズ可能なBitmojiアバターがBitmoji TVと呼ばれるフルモーションアニメシリーズのスターになる。チャットステッカーやマンガ仕立てのストーリーで使われるにすぎなかったBitmojiにとって、大きな進化だ。

Bitmoji TVはユーザーが自分でアニメ動画を作成できる機能で、作成したアニメはディスカバーに表示される。アニメはコピーができない。Bitmoji TVにより、YouTube、Facebook Watch、TikTokなどの多数のショートビデオプラットフォームからの差別化が可能になる。Bitmoji TVでディスカバーのクオリティが向上するかもしれない。現在のディスカバーは、単純に目を引いたりクリックを促すのが目的の、露出度の高い女性、おぞましい画像、その他の衝撃的なコンテンツでいっぱいの写真週刊誌が並んだ書棚のようだ。

Bitmoji TVを利用すると、スター・トレックの宇宙船の乗組員になったり、秘密エージェントになったり、ロボットに恋をしたり、ゾンビになったり、定期的に予定されている冒険にユーザーとその友人のアバターが登場する。予告編のSnapchatは、Netflix(ネットフリックス)のビッグマウス(ネットフリックスのアニメシリーズ)を思わせるアニメーションスタイルのプレビューをリリースした。

TechCrunchは、エピソードの長さやリリースされる頻度、広告を含めるのか、どこかの会社を買収したのか、シリーズ制作のために著名な人材を引き抜いたのかなど、詳細についてSnapに問い合わせた。  Snapのスポークスマンは詳細な回答を控えたが、次の声明を出した。「Bitmoji TVはまだ利用できないが、間もなくのグローバルプレミアに注目してほしい」

Bitmoji TVのSnapchat Showページは2020年2月に発表される。ユーザーはモバイルからこのサイトでBitmoji TVの利用登録をすると、ディスカバーページに目立つように表示したり、新しいコンテンツに関する通知をオンにしたりできる。

SnapはBitmojiの価値を実現する

Snapはここ数年苦しんでいる。主要機能の多くがFacebook(フェイスブック)ファミリーのアプリによって容赦なくコピーされているからだ。Instagram Stories(インスタグラムストーリー)は、ストーリーの発明者からこのメディア形式をを事実上盗み、何年もの間、Snapの成長の息の根を止めた。Facebookはまた、ARフィルターを強化し、より短いメッセージの機能も追加し、SnapchatディスカバーのライバルとしてWatchを始めた。

2年前、筆者はFacebookがBitmojiと競合しないのはクレイジーだと書いた。半年後、Facebookアバターが開発中であることをTechCrunchが最初に報じ、今年オーストラリアでメッセンジャーチャットステッカーとしてリリースされた。2019年か2020年初頭にグローバルリリースを計画している。だが、Facebookの緩慢な動き、Googleの中途半端な参入、Twitterに動きが見られないことなどが、SnapchatのBitmojiにとって幸いした。Snapは今、ついにそのチャンスを捉えた。

「TV」は、実のところ、Bitmojiのルーツへの回帰だ。スタートアップのBitstripsはもともと、髪や服などをカスタマイズしたアバターが登場するマンガを作成するアプリを提供していた。Snapは2016年にたった6420万ドル(約70億円)でBitstripsを買収した。10億ドル(約1100億円)弱でInstagramを買収したFacebookと似たような動きだった。Snapchatがアバターをチャットステッカーとして提供し始めるとすぐに、スタンドアロンのBitmojiアプリが爆発的にヒットした。Sensor Towerによると、Snapchatがメインアプリでアバターを作成できるようになったにもかかわらず、4月の時点で3億3000万回を超えるダウンロードがあった。

最終的に、SnapはBitmojiの用途を拡大し始めた。2017年、Bitmojiは3Dに移行し、SnapのARキャラクターとして使えるようになった。翌年、Snapはグラフィックスを改善し、Snap Kit開発者プラットフォームとBitmoji Kitを発表した。これにより、Snapchatにログインせずさまざまなアプリに組み込むことが可能になり、Bitmojiをプロフィール写真として使えるようになった。すぐにFitbitスマートウォッチの文字盤に登場したほか、Venmoや、Snapchatの物販商品であるTシャツやマグカップでも使えるようになった。競争相手にコピーを許すのではなく、本物を使用させることでコピーを打ち負かすことは賢明な戦略だ。これが「Snapback」と呼ばれている復活を後押した。Snapの株価は2019年の初めの5.79ドルから現在は16.09ドルに上昇している。

Snapの最も優れたイノベーションの1つが、Bitmoji TVの元祖であるBitmoji Storiesだ。毎日のストーリーでは、アバターを主人公にした短いマンガ風の画像をフレームごとにタップできる。Bitmoji Storiesに初歩的なアニメーションが含まれることもあったが、ほとんどのフレームの画像には吹き出しがあった。Bitmojiは、単なるコミュニケーションツールではなく、物語の力を復活させることができた。それでも、十分に利用されていないようだ。

2019年、Snapchatは目覚めた。Bitmojiは10代の若者だけでなくSnapchatの2億1000万人のデイリーアクティブユーザーにとって、Google(グーグル)やKleenex(クリネックス)のようにいつでも使える存在になった。その間抜けなキャラクターはSnapchatにぴったりで、堅く高齢の大手テック企業がそのままコピーするのを難しくしている。

Snapは4月、メッセージング機能内の新しいゲームプラットフォームを発表した。マリオパーティーを思わせるBitmojiパーティーからテニス、シューティングゲーム、料理のコンテストまで、さまざまなゲームで自身のアバターが友達のアバターと対戦できる。Snapはゲームに広告を取り入れ、メッセージング機能を収益化しようとしており、Bitmojiがその取り組みの鍵を握っている。先月、Bitmojiにブランドの服を着せ替えできる機能を立ち上げた。プレミアムの服を販売したり、ブランドからスポンサーシップを獲得したりして、収益化する機会を増やすことができた。

ただ、Bitmojiの独特な人気をフルに活用するために、Snapはその中心にアバターを据え、長期的なユーザー体験を構築する必要があった。ステッカーやストーリー、ゲームは楽しいが、ユーザー必見のコンテンツというわけではなかった。Bitmoji TVが、既存ユーザーの友人をアプリに誘う手段になるかもしれない。誰もが自分のBitmojiをスターだと思うため、Snapのマンガは普通の非人格的なマンガのキャラクターよりも魅力的に映るだろう。

Bitmoji TVの成功は、シナリオの質に大きく依存する。アバターが話のネタになる楽しい状況にいつもいれば、ユーザーは見続ける。だが、Snapの10代のユーザーは、本物でないクズに対して鋭い嗅覚を持っている。押し付けられている、子供っぽい、退屈だと感じた場合、Bitmoji TVはおそらく失敗する。Snapは、エピソード作成のため優秀なハリウッドの人材に投資するかもしれない。

Bitmoji TVの短編アニメのクオリティが高ければ、Snapchatのディスカバーを平凡さから救うことができるはずだ。プラットフォームにはESPN SportsCenterのような強力なブランドがあり、Snapには2500万人以上のユニークビューアーを抱えるオリジナルショーもある。Dead Girls Detective Agency(原題)や、Serena Williams(セレナ・ウィリアムズ)とArnold Schwarzenegger(アーノルド・シュワルツェネッガー)の伝記クリップなど、新しく始まるシーズンもある。それでも、ディスカバーとショー(ショーは日本のアプリにはない動画専門コーナー)をスクロールすると、広告主が確実に嫌がる不愉快なクリックベイト(クリックをあおるリンクタイトル)が多数あることがわかってしまう。

Bitmoji TVは、手軽に楽しめる動画を提供するだけでなく、規模の大きいアバタープラットフォームを持っていない競合他社からの参入障壁にもなる。Snapchat Cameosの最近の立ち上げでもそうだったが、同社は最も中毒性の高いユーザーエクスペリエンスがユーザー自身の顔に関連していることに気付いた。Snapchatは、自撮りをコミュニケーションの未来に変えた。Bitmoji TVは、セルフィーをアニメーションで再現し、コンテンツの未来を作り上げる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Source: TechCrunch Japan
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